漫画コラム

【漫画家紹介】奇才 大暮維人の略歴と代表作まとめ

はじめに

個人的に大好きな漫画家、大暮維人先生のおススメ作品を紹介します。

中には数日で読了できる作品もありますので、気になった作品があればぜひ読んでみてください!!

大暮維人先生について

大暮維人を一言で表すなら、『画力のバケモノ』です。

個人的な好みもあるかもしれませんが、人物の肢体はもちろん動きのある描写自然物メカニカルなデザインに至るまで隙なく描きます!

 

反面、ストーリーなどを他者に依頼することもあります。

作画に特化した漫画家といえますね。

大暮維人先生の経歴

この機会に彼の略歴を調べなおしましたが、なかなかに破天荒な人生でした(笑)。

 

大暮維人先生は学生時代から美術に親しんでいました。

家庭の事情もあり高校卒業後は画材屋に就職し、サラリーマンとして生活します。

 

そんな中、ギャンブルで作った借金の返済のために漫画賞を目指すようになり、これが漫画家として歩むきっかけとなりました。

 

21歳の時に自身初の漫画賞(ホットミルクマンガ大賞 入選)を獲得します。

その2年後に漫画ホットミルクで連載が決定し、漫画家としてデビューしました。

 

ちなみにこの”漫画ホットミルク”、成人向け雑誌(エロ本)です。

そうです、大暮維人先生はデビュー当初は成人向け漫画を主戦場として活動していたのです!

 

漫画家としてデビューした2年後にウルトラジャンプにて『天上天下』の連載を開始します。

ウルトラジャンプは、青年誌なので性的な描写は当然NGでしたが、この作品はなかなかに過激な表現を多く含んだ作品でした。

この、一般誌でありながら”お色気”・”間接的にレイプシーンを描く”といった画法はのちの大暮維人作品に多く受け継がれていきます。

 

2002年には少年マガジンにて『エア・ギア』の連載が始まります。

斬新なストーリーと洗練された絵で、エア・ギアは少年マガジンの看板漫画の一つとなります。

また、天上天下,エア・ギアのアニメ化により大暮維人先生は名実ともに人気漫画家の一人になりました。

 

その後ウルトラジャンプで『バイオーグ・トリニティ』を連載した後、2018年からは週刊少年マガジンにて『化物語(原作 西尾維新)』をコミカライズしたものを連載しています。

代表作

天上天下

[su_box title=”あらすじ”]不良である凪 宗一郎(なぎ そういちろう)が武術家の集まる学園を舞台に、戦いを繰り広げる学園系格闘漫画です。前述しましたが、大暮維人先生のメジャーデビュー作ですね。 一応『気』というファンタジックな要素も含んでいます。[/su_box]

 

 

この作品の魅力は、画力はもちろんのこと綿密に練られたストーリーや各キャラクターに込められた設定の濃さでしょう。

特に、主人公以外のキャラ(敵味方含む)の流派や過去のエピソードが充実しているため、どの角度からでも楽しめる作品になっています。

あらすじはこんな感じですが、読み進めていくと想像以上のストーリーの深さに驚くと思いますよ(笑)。

個人的な感想ですが、

 

不良同士の喧嘩→学校を巻き込んだ闘争→最新テクノロジーを駆使した裏組織の暗躍→数千年前から続く神話レベルの因縁

 

といった感じでストーリーが進展しました。…壮大でしょう(笑)

上記のツイートにもありますが、文字の上では完全に“厨二病のノート”ですね…。

 

でも読む価値はある作品です!

エア・ギア

週刊少年マガジンにて10年連載された漫画です。

 

[su_box title=”あらすじ”]この世界ではローラースケートにモーターを取り付けた『エアトレック(通称 A・T)』が若者を中心に絶大な人気を得ていました。 主人公の南 一樹(みなみ いっき)は、仲間たちとA・Tチーム “小烏丸(こがらすまる)”を結成し、周りのチームを倒しながら勢力を拡大します。 その中で彼らはA・T界に君臨する”8人の王”たちと彼らが扱う伝説のパーツ、そして彼らを束ねることができる”空の王”の存在を知ります。 “空の王”の指名を受けた一樹は戦いの中でそのための経験や技術を養っていきます。[/su_box]

 

 

前作(天上天下)とは異なり、エア・ギアは若干SF要素の入った漫画です。

というかA・Tの出力は4kWだそうですが、これは原付の出力に相当します。

(そんなレベルの小型(親指くらい)モーターを作ることは不可能ですし、できたとしてもたぶん足が吹っ飛んでいくでしょう…)

 

また、終盤では他国の軍艦や宇宙技術を巻き込んだりもします。

しかし、疾走感がありつつも洗練された絵や、天上天下に勝るとも劣らないキャラ設定など、その魅力は語るに尽くせません。

ぜひ読んでみてください。

バイオーグ・トリニティ

ウルトラジャンプにて4年間掲載された漫画です。

 

[su_box title=”あらすじ”]無機物・有機物問わずあらゆるものと融合することができる力『バイオ・バグ』を手に入れた人類は我々とは全く異なる日常を手に入れました。 主人公である高校生の“藤井”はある日突然バイオ・バグの力に目覚めます。 藤井はそれを喜びましたが、ある日偶然にもバイオ・バグが絡む殺人に友達(穂坂)が巻き込まれている現場に遭遇します。 藤井の気転により穂坂は助かりましたが、その日から藤井はバイオ・バグが絡む巨大な陰謀に巻き込まれていきます。[/su_box]

 

完全にSFに振り切った作品ですね。

SF作品は世界観や設定を作りこむことが難しいと言われていますが、本作品はシナリオに小説家『舞城 王太郎』を迎えた2人態勢で執筆を行いました。

 

ただし、そのせいか内容が少し難しいです…。

作中では、物語の根幹にかかわる設定で量子力学や物理学の現象が多く出てきます。

また、登場人物の裏切りや黒幕化が頻繁に起こるため内容も整理しにくいです。

 

それでも十数巻で読了できるコンパクトさは魅力ですので、ぜひ読んでみてください!

ちなみにこちらがバイオーグ・トリニティの1コマ です。

“不気味さ”も”妖艶さ”も”かわいさ”も”グロさ”も全部混じったような絵ですよね。

はじめは抵抗がありましたが、読み進めていくうちに虜になっていきました。

 

『ジョジョの奇妙な冒険』の”荒木 飛呂彦”先生にも言えますが、もはや芸術的といえるような絵に昇華しています(笑)。

化物語

週刊少年マガジンにて2018年から連載されている漫画です。

 

[su_box title=”あらすじ”]高校生である“阿良々木 暦(あららぎ こよみ)”は春休みに死にかけの吸血鬼を助けました。その時の契約により半分だけ吸血鬼となった彼は、以降も自身の身の回りで起こる様々な”怪異(かいい)”現象に巻き込まれます。 そして、その中での人とのめぐり逢いや経験を経て、阿良々木くんは助けた吸血鬼と共に大人へと成長していきました。[/su_box]

 

この漫画は“西尾維新”先生の小説をコミカライズしたものです。2009年からアニメ化もしている作品ですので、そちら経由で知っている人も多いのではないでしょうか。

 

この作品の魅力はなんといっても原作西尾維新先生の描く世界観です。

アニメを見た人、ましてや原作を読んでいる方ならその特異性を理解していただけるのではないでしょうか(笑)。

 

言葉にするのは非常に難しいんですが、とにかく文章に”クセ”があり、そしてそれが病みつきになるんです!

したがって、この漫画版を含めた西尾維新作品のメディアミックスは、本来文章でしか表されていない”クセ”をいかに描くかということが重要なのです。

 

大暮維人先生は持ち前の絵でこれに挑戦されました。

そして見事に原作の世界観を再現しつつ、自分らしさを加えることに成功したのです!

ぜひマガジン、もしくはコミックスで読んでみてください。