湖山賞の授賞式。
水墨画をめぐる、物語の終わり。多くの出会いと学びを得て、少年はこの場所にたどり着いた。
線は、僕を描くのネタバレ
授賞式。
壇上で、千瑛と湖山先生がインタビューを受けていた
「篠田先生、お孫さんの快挙にコメントを」
湖山先生は千瑛の横に並んで話はじめた。
「千瑛には、伝統文化に携わる人間として精進して欲しく、新しい時代の水墨画を期待します」
こんな感じでよかった?
と千瑛に聞いて、おじいちゃん!と千瑛から叱られていた。
続けて記者が僕の作品の出来を聞いてきた。
僕には簡素でインパクトにかける絵に見えてしまうのですが・・・
記者の言葉に千瑛が表情をかえた
湖山先生はー
「見ればわかる。言葉などいらない。」
そう一言だけコメントした。
そのコメントの重さに、会場にいた人たちから、おぉ・・・と声が上がった。
湖山先生の言葉に、千瑛も納得した表情だった。
すると、すぐに千瑛は囲まれた。
「お話よろしいでしょうか?!」
「今のお気持ちを・・・」
一方、慌てて会場を飛び出す人達
「見出しは、美人すぎる水墨画家で決まりだ!」
大変そうだな、千瑛・・・
そう思いながら、会場の外に出た
会場の外に咲いている桜が、綺麗だった。
綺麗だな・・・
見蕩れていた時、西濱さんが茜さんと一緒にやってきた。
「この度はおめでとうございます」
茜さんは深々とおじぎをして言った。
「おめでとう、青山君!」
西濱さんも、嬉しそうに言ってくれた。
西濱さんたちと話をしていたら、翠山先生が僕達のところにやって来た
「君の絵・・・ああいう絵は、技術だけでも才能だけでも描けない。」
あの絵には、きちんと生きた人だけが見える世界があるー
湖山先生と千瑛が、やっと解放されたみたいだった
「行ってきな、青山君。」
千瑛ちゃんがあそこで記者に捕まったのはね、あの絵の前で君と話したしたいからなんだと思うよ。
西濱さんにそう言われて、僕は千瑛の所へ急いだ
自動ドアが開いた時ー
「桜を見ていたね、青山君。」
湖山先生が優しい顔で僕に声をかけてくれた
翠山先生たちと、と伝えると合流すると言って立ち去ろうとした
でも、その時
湖山先生が話しだした。
美しい絵が描けるのは、それが美しいとわかっているから
この世にある素晴らしいもの
君の心はたくさんのそれに気づいた。
それが君の1年だったのかもしれないね。
そう言って、優しく僕を見た
「さあ、千瑛が待っているよ」
先生の言葉を胸にきざんで
「はい!」
僕は千瑛のところへー
いつかの僕には、わからなかった
誰もが線を描くように生きていること
線は重なりながら
つながりながら
続いていること
僕の目の前にあるこの世界はこんなにもー
「千瑛!」
そこには、えがおで振り向く千瑛がいた。
最終話のまとめ&感想!
とうとう
とうとうこの時がきてしまいました。
最終話!
短くも、長かった1年。
あっという間に過ぎ去った時間が、とても昔の事のように思い出します。
湖山先生と初めてあった1年前
千瑛との初対面
西濱さんに、斎藤さんとの出会い
同級生との交流
翠山先生との出会い
たくさんの出会いの中、たくさんの事を学んだ1年でした。
そして、全ての人との出会いが、青山君をどんどん変えていきました。
湖山先生は命を
千瑛は前を向く勇気を。歩き出すきっかけを。
いろんな人から、たくさんの事を学び得た1年だったことでしょう。
それは、両親が亡くなって以来、
青山君が取り戻したもの・・・
実に濃い1年でした。
たった1年で、翠山賞を頂けるほど努力した青山君も、さすがですね
今後、どのような人生を青山君が歩いていくのか。
とても気になるところですが、今回が最終話です。
しょうがないですね。
こうなったらいいな、と思うだけにしましょう。
でも・・・
心があたたまる、最終話でした。
2人に、幸福が訪れますように。