線は、僕を描く の感想、ネタバレです。
今、すべてと向き合う時ー
線は、僕を描くのネタバレ
ー安堵ー
「それでは失礼します、先生!」僕は病室を出ようとした。
そんな僕に、先生は声をかけてくれた。
「私は君の描く線が好きだよ。」
そう言って、ボクが描く絵を楽しみにしていると言ってくれた
「はい!」
さっきまで泣いてたけど、今は素直に笑える
ー前を向くためにー
病室を出ると、千瑛が待っててくれた
「家まで送るわ」
車に向かう千瑛についていく
ふと、病院を振り返ると、さっきの先生の言葉が思い浮かぶ
「生きる意味を見つけて欲しかったんだ」
帰路を急ぐ千瑛に、僕はお願いしてみた
「寄って欲しいとこがあるんだけど・・・いいかな」
僕の目を見て千瑛は
「別にいいけど・・・」
って言ってくれた
途中で、朝に菊を買ったお花屋さんに寄ってもらった
「彼女さん、綺麗ね」
朝の店員さんに声をかけられた
と、僕が否定する前に、千瑛がキッパリ否定した
「彼女ではありません。違います。」
なぜか、否定が強い・・・
菊をもう1輪買って、また車に乗り込んだ
「描けそうなの?あなた自身の絵」
千瑛の質問に僕は素直に答えた
「まだ全然・・・」
でも、これから行く先で見つかるかもしれないって思ってる
道案内をする
信号待ちの時、思い出していた
両親のいた日常
幸せだった、毎日
沈黙が続いた時、急に千瑛が言い出した
「犬か猫が飼いたいのよだけどおじいちゃんがダメだって。まったく理解できないわ。」
そう言って、プリプリ怒っている
コンビニに寄るね、と千瑛はまた違う話をする
どうやら僕の気持ちをほぐそうとしてくれているみたい
少しだけ、緊張していた気持ちがやわらいだ
ー帰宅ー
駐車場に車を停めて、見慣れた家を見上げた
「ここは?」
そう聞いてきた千瑛に、僕は答えた
「僕の家だよ」
足を止める千瑛に、よかったら上がって行ってと声をかけた
千瑛は僕の後に続いた
玄関の前に立った
僕が、両親と過ごした家
この扉をくぐるだけ・・・
一瞬ためらってしまう
自分の家に帰るだけ
それだけなんだ
そう言い聞かせて玄関を開けた
誰もいない、真っ暗な玄関
思い出す、目を覚まさない両親の姿
呼吸が苦しくなりそうだー
その時、千瑛が僕の背中に手を当てた
「大丈夫・・・?」
心配そうに、僕を見つめる千瑛
その顔に、ココロが落ち着く
「・・・うん」
そう言って、僕は玄関の電気をつけた
大丈夫
もう大丈夫だよ
僕は、もう独りじゃない
「ただいま」
そう言って、家にあがる
ーずっと、ただいまって言いたかった
歩き出した時、後ろから声がした
「おかえり」
それは千瑛が言ってくれた言葉だった
振り返ると、千瑛が優しい笑顔で僕を見てた
「ただいま」
僕は、やっと家に帰ってきた
何もかもがあった場所。
ここから、もう一度 ー
26話のまとめ&感想!
今回は、青山君の心の変化がとても良く分かるお話でした。
両親が2年前に事故で亡くなり、まだ高校生だった青山君は親戚のおうちで生活をしました。
昨日まで当たり前だった、両親のいる生活。
それが急に無くなり、受け入れられないまま2年がすぎました。
湖山先生いわく、文字通り「孤独」だった。
自分は独りだと
ずっとそう思って生きてきたようです。
ですが、彼はやっと前を向くことを決めたようです。
今までの、孤独だった自分と向き合って、前を向いて歩くことを決めたようですね。
ここに至るまで、たくさん葛藤があったんでしょう。
戸惑いも、恐怖もあったことでしょう。
事故以来帰ってなかった、両親と暮らしていた家。
その家に足を向ける気持ちになったのは、間違いなく湖山先生の思いが届いたからでしょう。
そして、その決心をした時
その瞬間、彼は独りじゃなかった。
そばで支えてくれる人がいた。
なんて幸せなんでしょう。
孤独じゃ無いことを、実感出来る日が来るなんて。
今までの彼では、考えられなかったはず。
すべては湖山先生に出会ったこと
水墨画に出会ったこと
そこがはじまりでした。
彼の人生の中で、決して忘れられない出会いになるはずです。
今後、前を向くことを決めた彼は、どんな絵を描くんでしょう
彼の成長と共に、楽しみですね。