リングにかけろ

リングにかけろ 名勝負を振り返る チャンピオンカーニバル決勝 高嶺竜児vs河井武士PART①

「リングにかけろ」概要

作者/車田正美

掲載誌/週刊少年ジャンプ

連載期間/1972年2号~1981年44号

主な登場人物/高嶺竜児 高嶺菊 剣崎順 香取石松 志那虎一城 河井武士 など

主人公高嶺竜児がプロボクサーだった亡き父の遺志を継いで世界チャンピオンを目指すべく、姉である菊の教えを受けて成長していくいわゆるスポ根系のボクシング漫画。

略称「リンかけ」

リングにかけろ 名勝負 チャンピオンカーニバル決勝
高嶺竜児vs河井武士 PART①

河井弟姉登場

チャンピオンカーニバル決勝は高嶺竜児河井武士の激突となった。

両者には共通点がある。それは2人ともボクシングの師匠が姉であることだ。

そう、この試合は2人の対決のみならず、高嶺菊河井貴子の対決でもあった。

「リンかけ」には多くの美女が登場するが、河井武士の姉・貴子はその中でもわりと上位に位置するのでは?と個人的には思う。

茶髪のロングヘアーにセーラー服からは胸元が垣間見え、女子高生ながら妖艶な色香を放っている。

河井はいかにも金持ちのお坊っちゃま風だが、貴子は上品さに少々下品さをブレンドしたセレブなスケバンという印象だ。

チャンピオンカーニバル当日、竜児を始めとする月島五中一行を乗せたバスが会場への道すがら、パンクにあってしまう。

しょうがなく竜児と菊はタクシーを探す羽目になる。

そして菊がタクシーだと勘違いして、止めてしまった車が河井弟姉の車だった。

何と貴子は女子高生という設定ながら、セーラー服を着たまま、運転席で堂々とハンドルを握っていた。(やっぱりスケバン?)

貴子は竜児たちに車に乗るよう勧め、会場まで同行することになった。

途中、車の前に子犬が飛び出してきた、貴子は車をとめることもなくあっさりと犬を轢いてしまう。

無免許で運転するは、ひき逃げはするは、全く美人だがおっとろしい姉ちゃんである。

菊が「その気になれば、避けれたのではないか」と、そのことをたしなめると、

今度は沈黙を保っていた弟・武士がおもむろにしゃべりだす。

井の中の蛙、大海を知らず

さっきの子犬もこんな大きな道にさまよい出てこなければ、轢かれることもなかったのに…

人間も同じこと。自分の力も考えずに大海に出てこようものなら、溺れ死んでしまうでしょう…

ちがいますか? 高嶺竜児くん…

どうやらこの2人は竜児たちのことを知っていたようだ。

要は竜児が「井の中の蛙」であるといいたいのか?

この時すでに、竜児と河井武士は決勝の舞台で戦うことが運命的に決まっていたのかもしれない。

姉同士の小競り合い

決勝戦が始まる前、河井貴子は菊を会場の外へ呼び出した。

悪いことはいわないからこの決勝を棄権しなさい

貴子はいきなり、菊にそういった。

自分の弟・武士は自分が幼い頃から育て上げ、今では完成されたボクサーだが、竜児はまだまだ未熟だ、ということがいいたかったようだ。

もちろん、こんな脅しは菊には通用しない。

あんまり甘くみないほうがいいっちゃ」といい放って、その場をあとにしようとする。

と、その時貴子がファイティングポーズを取って、いきなり菊に襲いかかる。

菊もすかさず臨戦態勢を取る。

シャ、シャ、シャアーン。(互いのパンチが交錯した音?)

一瞬置いて、菊の三つ編みがはらりとほどける。貴子のパンチのせいらしい。

これでわかったこと。弟を危険な目にあわせたくなかったら、試合をやめなさい!

そういって勝ち誇ったように立ち去ろうとした貴子のセーラー服が

パラッ、パラッ、ザッと、ところどころ引き裂かれた。今度は菊のパンチのせいだ。

貴子は菊が天才であることを一瞬で悟る。

竜児は不完全であるが、バックに天才が付いているとなると、この試合は…..。

会場では、いよいよ決勝戦の火蓋が切って落とされた。

開始早々、竜児の右ストレートが火を吹く。河井、チャンピオンカーニバル始まってから初のダウン

武士、何やってるの、お遊びはなしっていったじゃない!」と貴子

竜児、二人で築いてきたおまえの力を満天下に見せてやれ! 日本一になるんだ!」負けじと菊

世紀の弟姉対決の行方はいかに?

PART2に続く。