リングにかけろ

リングにかけろ 志那虎一城 必殺技解説とその人物像に迫る その①

「リングにかけろ」概要

作者/車田正美

掲載誌/週刊少年ジャンプ

連載期間/1972年2号~1981年44号

主な登場人物/高嶺竜児 高嶺菊 剣崎順 香取石松 志那虎一城 河井武士 など

主人公高嶺竜児がプロボクサーだった亡き父の遺志を継いで世界チャンピオンを目指すべく、姉である菊の教えを受けて成長していくいわゆるスポ根系のボクシング漫画。

略称「リンかけ」

志那虎一城 どんな人物?

日本代表の1人で「いぶし銀」の異名を持つ。

リーゼントでキめた風貌は妙に大人びていて、とても中学生には見えず、香取石松からは「志那虎のだんな」などと呼ばれていた。

京都の出身で実家は志那虎陰流の剣術道場である。

志那虎には我々の脳裏に鮮烈な記憶を刻みつけたエピソードが存在する。

幼少期に父親から剣術の特訓として、

羽根の部分に刃を取り付けた扇風機を回転させ、その鋭利な刃をかわして羽根の先に置いてある玉を取らせる

という無茶苦茶な特訓を強いられたのだ。

父親の理不尽な命令に従う他なかった志那虎はパワハラなんて言葉ではとうてい済まされない、この常軌を逸した特訓で不運にも右腕に重傷を負ってしまう。

その後、彼はその時の後遺症により右腕を満足に動かせなくなってしまった

普通の少年なら精神に異常をきたし自閉症になって引きこもるか、あるいは逆に父親に反抗的な態度を取って町の不良と化すなどの展開が考えられるが、

志那虎一城はそんなやわな男ではなかった。

なんとそれから自力で血の滲むようなトレーニングを続け、肉体と精神を強化し、何年か後には左手でその玉を取ることに成功し、父親に対して正統的なリベンジを果たしたのである。

さすがは日本代表になるだけの男である。この時、すでに志那虎は超人としての資質を開花させていたと考えられる。

世界大会のドイツ代表チームのヘルガは「右腕が使えれば剣崎や高嶺をも凌ぐボクサーになるだろう」とその実力を高く評価している。

志那虎一城 必殺技 ローリングサンダー

右腕の使えない志那虎が左手一本で編み出したフィニッシュブロー。

ちなみに本作において初めて技名が披露されたのが、このローリングサンダーである。

この技は左手一本で、わずか0コンマ数秒の間に一発目に顔面、二発目にアゴ、最後はみぞおちにとどめのパンチをぶちかますというとても人間技とは思えないものであった。

当然だが、動作が速すぎて相手も観客にもまともにパンチが見えることはない。せいぜい最初の顔面への一発が見えればいい方だ。

ここで聡明な読者ならすぐに気づいたことだろう。

このとんでもない技が一体どうやって開発されたのか?

答えはもちろん例の刃扇風機特訓によって培った瞬発力の賜物がこのローリングサンダーなのである。

この技が最初に発動したのはチャンピオンカーニバルでの埼玉代表・鬼島という大男との戦いだった。

開始早々に相手のパンチを巧みに交わし、まさに一瞬の稲妻の如きスーパーブローで鬼島をノックアウトした志那虎の姿は鳥肌がたつほどクールだった。

名前を宿したスーパーブローが初めて放たれた、まぎれもない本作の名シーンの一つである。

おわりに

今回は志那虎一城 の人物像や必殺技について解説しました。

次回も引き続き、今回語り尽くせなかった彼の必殺技についてお伝えします。

どうぞお楽しみに!