リングにかけろ

リングにかけろ 志那虎一城 必殺技解説とその人物像に迫る その②

「リングにかけろ」概要

作者/車田正美

掲載誌/週刊少年ジャンプ

連載期間/1972年2号~1981年44号

主な登場人物/高嶺竜児 高嶺菊 剣崎順 香取石松 志那虎一城 河井武士 など

主人公高嶺竜児がプロボクサーだった亡き父の遺志を継いで世界チャンピオンを目指すべく、姉である菊の教えを受けて成長していくいわゆるスポ根系のボクシング漫画。

略称「リンかけ」

志那虎一城 必殺技 スペシャル・ローリングサンダー

名前の通り、前回紹介したローリングサンダーのスペシャルバージョン

左手一本で対戦相手に打ち込むパンチが3発から5発に進化した。

ローリングサンダーが一発目に顔面、二発目にアゴ、最後はみぞおちなのに対し、

スペシャル・ローリングサンダーはなんと人間の5つの急所を狙い撃ちする。

作中に具体的な記述はないが、代わりに人体の図があり、拳がヒットしている部分が示されている。

その箇所を見ると、どうやら心臓や肝臓などの臓器も含まれているようだ。

わずか0コンマ数秒の間に人間の臓器をピンポイントで撃ち抜く、まことに空恐ろしいパンチである。

スペシャル・ローリングサンダー(SRT)が初登場したのはチャンピオンカーニバル戦後に行われた影道風魔との闘いであった。

試合前にでかい口をたたいていた風魔の実力は意外に高く、序盤で早くも必殺のローリングサンダーが破られてしまう。

風魔の実力を認めた志那虎は、ならばしょうがねえと、とっておきのスペシャル・ローリングサンダーを初披露し、見事勝利を飾る。

その後、この必殺技で連戦連勝を重ねてきた志那虎だが、

世界大会準決勝のドイツ戦で事件は起こる。

志那虎は2番手を努め、ヒムラーという包帯グルグル巻きのミイラ男のような選手と対決。

相手のヒムラーは志那虎のパンチを0.002秒上回るスピードを持つ。

ほとんど差はないように思えるが、どうしてどうして、ボクシングの世界ではわずかな差でも勝利を左右するのだ。

なんとこのヒムラー、志那虎よりも速いパンチを打てることを生かして、

スペシャル・ローリングサンダー5発全てにクロスカウンターを放つという荒技をやってのけたのである。

これが有名なスペシャル・クロスカウンター(SCC)だ。

これは、これまでに何度か登場したドイツ代表参謀の天才ヘルガが対志那虎用に考案した作戦のようだ。

さてスペシャルローリング・サンダーが破られ、

志那虎危うし?と一瞬思われたが、この男がその程度の劣勢であきらめるわけはない。

そこは歴戦の強者、血の滲むような刃扇風機特訓で鍛えたメンタルは伊達ではない。

試合に戻ろう。

ヒムラーのSCCによって、追い込まれた志那虎は何を思ったか、再びSRTを発動。

誰もが、なんて謀な、さっきの二の舞になるぞ、と思った。

当然ヒムラーはSCCを合わせてくる。

なんとここで志那虎は意表をついてヒムラーのカウンター狙いのパンチをことごとく拳で打ち砕いていく

これでスペシャル・クロスカウンター破れたり。

動揺したヒムラーの隙をついて、志那虎は三度目のSRTをうち、今度は急所を的確にとらえ、逆転勝利を奪った。

志那虎にはギリシア十二神戦前に生み出した、これまた彼らしい円月拳という最終ブローがあるのだが、それについては改めて触れる機会を持ちたい。

志那虎一城 神技的ディフェンス

志那虎陰流の剣術の見切りを応用した究極のディフェンス。

華麗なフットワークで相手の必殺ブローをことごとくかわす。

実際の画では相手のパンチが志那虎の顔面をすり抜けるカタチで表されている。

このディフェンスで相手を翻弄し、隙ができたところで、ローリングサンダーあるいはスペシャル・ローリングサンダーを放って瞬殺。

というのが志那虎の必勝パターンとなっている。

おわりに

今回は志那虎一城 の必殺技について解説しました。

志那虎は「リンかけ」ファンの支持も厚い、本作に欠かせないキャラクターです。

ぜひ彼のファイトを作品の中で堪能してほしいです。

次回は日本代表きっての美男子、河井武士についてお伝えします。

どうぞお楽しみに!