「リングにかけろ」概要
作者/車田正美
掲載誌/週刊少年ジャンプ
連載期間/1972年2号~1981年44号
主な登場人物/高嶺竜児 高嶺菊 剣崎順 香取石松 志那虎一城 河井武士 など
主人公高嶺竜児がプロボクサーだった亡き父の遺志を継いで世界チャンピオンを目指すべく、姉である菊の教えを受けて成長していくいわゆるスポ根系のボクシング漫画。
略称「リンかけ」
リングにかけろ 日本代表vs影道 千里丘陵血戦を斬るPART①
黄金の日本Jr.ふたたび
影道の塔での戦いの後、日の当たる場所に出たいという悲願をあきらめきれない影道軍団は再び高嶺竜児への対戦を要望する。
しかも今回は竜児のみならず、日本代表5人に白羽の矢が放たれ、見えない力に押し流されるように影道軍団との対抗戦が大阪千里丘陵にて行われる運びとなった。
マスコミもこの一戦をえらく煽っていることから、この試合にはとてつもなく大きな力が動いていると大村会長は分析した。
つまり影道のバックにはこの決戦に導いた巨大な黒幕的存在がいるというわけだ。
これには竜児と石松も何がどうなっているのかイマイチぴんとこない様子だった。
さて日米決戦後、日本代表メンバーの志那虎一城と河井武士の2人はボクシングに見切りをつけ、志那虎は剣道、河井はピアノとそれぞれの道に復帰していたようだが、
この突如決まった影道との一戦に2人は急きょ参戦を表明する。
残るはスーパースター剣崎順の動向が気になるところだが、影道戦の当日、日本代表の4人が剣崎邸を訪問すると、彼は居留守を使い、事実上参戦を拒否する。
これには何かしらのわけがありそうだ。
とにもかくにも影道軍団との決戦の火蓋が切って落とされる。
第1試合 志那虎一城vs魔風
第1試合はいぶし銀こと志那虎一城vs魔風。
試合開始早々、魔風が猛然とダッシュしパンチを数発放つが、志那虎はこれを神技的ディフェンスでなんなくかわす。
「どうした? どこをねらってるんだお前」
志那虎お得意の挑発が決まる。
今度は魔風の反撃。鋭いパンチが志那虎の頬をかすめる。
試合前にはクドクドとご託を並べていた魔風だが、口だけではなく相当の実力者のようだ。
早めにケリをつけた方がよいと悟った志那虎は早くも伝家の宝刀ローリングサンダーをお見舞いする。
しかし魔風は両腕でがっちりとガードを固め、これを完璧にブロック。
動揺した志那虎、反対に魔風のパンチをもらい、ダウン。
何とかカウント8で立ち上がり、満を持して新パンチスペシャル・ローリングサンダーが初披露される。
第1試合、志那虎の逆転勝利。
第2試合 河井武士vs黒夜叉
第2試合、河井の相手は黒夜叉というなかなかの美青年。
河井同様に少々中性の香りがする。
といったら、河井に怒られるだろうか?
河井がリングに上がる前に彼のファンだという、セーラー服の女生徒が鈴のついたお守りを渡し、彼は特に疑うこともなく、それをつけてリングに上がる。
そして試合開始。
開始早々、河井は積極的に攻撃に出ようとするが、なぜか相手の黒夜叉にはパンチがかすりもしない。
これに焦った河井は早くも必殺のアッパーカットに打って出る。
(このとき河井の右手につけられた鈴の音がリングに響く)
しかし鈴の音に呼応するかのように一瞬早く黒夜叉の放ったアッパーカットがカウンター気味に河井を捉える。
どうやらこの鈴の音によってパンチを放つタイミングがことごとく読まれているようだ。
よく見ると、この黒夜叉という男、常に目を閉じた状態に見える。もしや目が見えないのか?
ここで場内の河井ファンから無数のバラが黄色いエールとともにリングに投げ込まれる。
刺がささって、河井の美形にキズがつきやしないかと内心穏やかではない。
その後、黒夜叉がとどめの一発に出ようとしたその時、
セコンドの志那虎が河井に向かって
「右手をリングの外に出せ」との指示を出す。
河井がいう通りに右手を差し出すと、志那虎は自慢の名刀備前長船で負の元凶である鈴を断ち切る。
日米決戦同様、またしても河井はこの名刀に救われたのである。
鈴の音がやめば、あとはもう河井の独壇場。
地を這うようなアッパーカットが黒夜叉に決まって、あっさりKO。
これぞジェットアッパー。
河井の代名詞となるニューブローが誕生した瞬間だ。
第4試合 香取石松vs死神
本来ならここで竜児が登場する第3試合なのだが、いろいろあって第4試合の石松vs死神戦を先にお伝えする。
試合開始直後、いつも通り威勢よく前に出ていった石松のパンチをかわし、死神は上空に消える。
相手を見失った石松に死神の必殺技トマホークが炸裂する。
死神は上空で身を翻し、斧を振り下ろす勢いで、石松にパンチを放ったのだ。
1戦目の魔風、2戦目の黒夜叉には必殺技は見られなかったが、この死神はちゃんといいモノを持っていたのである。
石松はダウンするが、やっとの思いで立ち上がる。
死神しつこくテイクオフ。2発目のトマホークがまたもやヒット!
さすがの石松ももうだめなのか?
誰もがそう思った時、死神はとどめの3発目を放つため、三たびジャンプする。
一瞬タイミングを遅らせ、それをおいかけるように石松もビッグジャンプを見せる。
石松の跳躍力は死神の到達点をはるかに超え、死神が先に着地したところへ、その顔面めがけて全体重を乗せたパンチを盛大に打ち込む。
DOKKOON!!!
出たー!
これが石松の故郷千葉の海で開発されたハリケーンボルトだ!
これで日本代表、無傷の3勝目。
ここまでの結果を振り返ると、この試合は影道軍団の思惑とは裏腹に志那虎、河井、石松それぞれのニュースーパーブローのお披露目会になってしまっていた。
果たして影道軍は残る剣崎、竜児に一矢むくい、悲願を達成することはできるのか?
次回へ続く
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