リングにかけろ 名勝負を振り返る 高嶺竜児vs剣崎順 2度目の対決PART①

「リングにかけろ」概要

リングにかけろ 名勝負 高嶺竜児vs剣崎順 2度目の対決PART①

パワーリスト解禁

高嶺竜児vs剣崎順の2度目の対決は竜児が中学生となり、月島五中のボクシング部に入部してまもなくの頃だった。

試合の模様をお伝えする前に、試合に大きく関わる事前のエピソードを話しておかねばなるまい。

竜児が入部した月島五中のボクシング部はボクシングの練習などまともにする者などいない、荒くれどもの巣と化していた。

入部したての竜児は早速、入部テストと称した不良どもの先例を浴びる。

しかし不良どもの攻撃はボクシングとはほど遠く、蹴りやバッティング(頭突き)などの反則を使うなどやりたい放題であった。

さすがの心優しき竜児もこれにはぶち切れ、姉・菊からまだ外してはならないと強くいわれていたパワーリストを解禁する。

束縛から解き放たれた素の竜児のパンチは高速すぎて、見えない。

相手が白目を剥いて倒れこんでいるからには、間違いなくヒットしているのだろう。

パンチを食らった相手も

「竜がいきなり海の中から現れやがった」などと気が狂ったようにわめき散らした。

パワーリストの効果恐るべしである。

ただ、パンチを打った竜児の右拳からはポタポタと鮮血がしたたりおちた。

どうやら拳を痛めたらしい。菊のいいつけを破った罰か？

そうこうするうちに、別の不良が襲ってきた。よく見るとその手には中学生にもかかわらずドスを握っているではないか？

しかし竜児はあわてず不良のドスをひらりと交わし、再び稲妻の如き、切れ味鋭い右ストレートを放つ。

(本物だ。おれはパワーリストによって、すごいパンチを身につけたんだ)

竜児が自分でもパンチの威力に驚き、感慨に浸っているのも束の間、

仲間をやられ、逆上した不良どもがどこからともなくウジャウジャと出現した。

しかし、いくら数が多くても所詮はザコの集まりに過ぎず、パワーリストを外して、解き放たれた竜児の相手ではなかった。

ページをめくるとそこには不良どもの屍の山ができていた。

竜虎ふたたび激突

大勢の不良をたった一人でかたづけた竜児だったが、その拳は相当傷ついていた。

大村ジムで手当てを受け、骨に異常はないと診断されたが、会長から1カ月は右手を使ってはいけないと固く命じられた。

しかしその後、タイミング悪く剣崎順擁する聖華学院から練習試合のオファーを受ける。

剣崎は1年ぶりに竜児へのリベンジを果たすべく、練習試合とは名ばかりのガチの決闘を申し込んできたのである。

菊や会長に拳の使用をきつく止められていた竜児だが、男と男の対決を断るわけにはいかず、これを潔く承諾。

かくして聖華学院リングにて、2度目の対決のゴングが鳴るのであった。

ROUND1

開始早々、竜児の左ジャブが剣崎にヒット。

剣崎たまらずダウン。

(わずか1年の間にすげえパンチを身につけやがった、だがおれも1年前とはちがうぜ)

剣崎も認めるほど、パワーリストを外した竜児のパンチはとんでもないパワーとスピードを秘めていた。

剣崎が反撃しようとしたその刹那、誰かによってタオルが投げ込まれた。

その誰かとは竜児を心配して駆けつけた菊だった。

けがを負っている竜児を連れ帰る目的で菊は会場を訪れたのである。

試合は一時中断。

竜児は姉を説得するため、いったん建物の外へ出る。

「今度ばかりは姉ちゃんのいいつけでもおれは帰らない!」

「何をいってるんだ、竜、そんな拳(けがをした)でやってみろ、試合に負けるだけならいざしらず、ボクサー生命も終わりになるんだぞ!」

「ごめん、姉ちゃん!」

竜児は姉の忠告に聞く耳を持たず、菊のボディーに一発入れ、いっしょに来た大村ジムの同僚であるロクさんに菊を託した。

あの泣き虫だった竜が、何と男らしくなったことか。

竜児がリングに戻り、竜虎対決再開。

2人の試合の行方はいかに？

竜児の拳は最後まで耐えられるのか？

PART2に続く。