「リングにかけろ」概要
作者/車田正美
掲載誌/週刊少年ジャンプ
連載期間/1972年2号~1981年44号
主な登場人物/高嶺竜児 高嶺菊 剣崎順 香取石松 志那虎一城 河井武士 など
主人公高嶺竜児がプロボクサーだった亡き父の遺志を継いで世界チャンピオンを目指すべく、姉である菊の教えを受けて成長していくいわゆるスポ根系のボクシング漫画。
略称「リンかけ」
高嶺竜児 必殺技 ウイニング・ザ・レインボー
高嶺竜児の最終兵器にして、今作最後の必殺技が「ウイニング・ザ・レインボー」である。
これまでの爆発力ばかりをアピールした技名とちがって、何ともすがすがしく、明るい未来さえ感じさせるネーミングではないか。
その正体は竜児が今まで身につけていなかった唯一のパンチ。
菊が最後に授けた最強のアッパーカットであった。
それにしても、これまで幾多の死闘を繰り広げてきた高嶺だが、よくもボクシングの主要パンチの一角を担うアッパーなしでやってこれたものだ。
さすがは高嶺竜児という他はない。
竜児がウイニング・ザ・レインボーを放っているシーンを見ると、アッパーカットの使い手日本代表の河井武士のジェットアッパーを思い出し、つまるところ高嶺版のジェットアッパーなのでは?と邪推したが
「ぼ…ぼくのジェットアッパーをもしのぐ…、ま…まさしくアッパーカットの常識を越えた…、さすが高嶺くんにふさわしい伝説の…、ニュー・スーパー・ブロー…」
と、このパンチを目の当たりにした当の河井が発言していることから、やはり究極のフィニッシュブローであることに疑いの余地はない。
さらには剣崎家が経営するボクシングジムのアシスタントマネージャーで頭脳明晰な少女キャサリンは
「はるか遠いマダガスカル島に伝わる虹の伝説…それは…。アフリカ大陸では東から西へ大陸を横断するほどの、信じられないくらい巨大な虹が出るそうです。
それを大陸の横にあるマダガスカル島で見ると、虹は気の遠くなるほど光り輝き天空高く真っ直ぐに屹立して見えると…。
しかもその虹はひとつでなく無数に海から天空に向かって伸びているという! 人はその虹をウイニング・ザ・レインボーと呼ぶのだと!!」
と長々と説明しています。「で?」といいたくもなりますが、そこは抑えて、
要するに彼女は海から天空に向かって伸びていく虹に例えれるほど、
これまで見たことがない伸びやかで美しいアッパーカットであるということを訴えたかったのだと思われる。
ウイニング・ザ・レインボーvsギャラクティカファントム
リングにかけろのクライマックスといえば、高嶺竜児と世界チャンピオン剣崎順とのタイトルマッチである。
この試合は武道館で行われ、フランスのナポレオン、ドイツのスコルピオン、ギリシアのアポロンなどかつての戦友たちも2人の最終決戦を見届けるためにわざわざ来日した。
この試合を行う時点で、これまでの幾多の戦いから2人の体はすでにボロボロであり、ドイツ代表参謀ヘルガは2人が戦える限界は4R2分51秒までだと細かく分析する。
つまり下手をすれば2人とも命を失うというぎりぎりの戦いであった。
やがて試合が始まる。
残された時間があまりないことを2人もよく心得ていて、2Rには早くも互いの必殺ブローギャラクティカ・マグナムとブーメランテリオスを惜しみなく打ち合う。
このブロー対決では両者一歩も譲らず、五分と五分。
そして3Rを経て、タイムリミットの4Rに否応なく突入。
剣崎が左の切り札ギャラクティカ・ファントムを放ってきたところへ、満を持して、高嶺のウイニング・ザ・レインボーが炸裂。
結果、ウイニング・ザ・レインボーの勝利。これまで無敵を誇ったギャラクティカ・ファントム敗れたり。
虹が電流を凌駕した感動的なシーンだった。
この瞬間にウイニング・ザ・レインボーはリンかけ史上最強のフィニッシュブローに輝いたのである。
そして2人は最高の生きざまを見せ、天国へ逝ったのである。
「銀河が哭いた。虹が砕けた。」
「ありがとう竜児、ありがとう剣崎。」
おわりに
今回は高嶺竜児の最終兵器にして、今作最後で最強の破壊力を持つウイニング・ザ・レインボーについて、解説しました。
高嶺と剣崎の互いの拳をぶつけ合う、クライマックスシーンは何度見ても泣けてきますね。
次回は日本代表の斬り込み隊長、香取石松についてお伝えします。
どうぞお楽しみに!
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