リングにかけろ

リングにかけろ 日米決戦を斬る 日本代表vsアメリカ選抜

「リングにかけろ」概要

作者/車田正美

掲載誌/週刊少年ジャンプ

連載期間/1972年2号~1981年44号

主な登場人物/高嶺竜児 高嶺菊 剣崎順 香取石松 志那虎一城 河井武士 など

主人公高嶺竜児がプロボクサーだった亡き父の遺志を継いで世界チャンピオンを目指すべく、姉である菊の教えを受けて成長していくいわゆるスポ根系のボクシング漫画。

略称「リンかけ」

リングにかけろ  日米決戦を斬る 日本代表vsアメリカ選抜

ブラックシャフト唐突に現る

チャンピオンカーニバル決勝戦の終了後、ドーム会場の天井が突如開き、全米Jrチャンピオン、ブラックシャフトがリングに舞い降りてきた。

シャフトは世界大会の前に日本とアメリカで対決しようじゃないかと申し出た。

2週間猶予を与えるので、日本代表の5人のボクサーを揃えろと上から目線でいい放った。

竜児、石松、志那虎、河井のチャンピオンカーニバルベスト4戦士があまりにも性急な展開にあっけにとられていると、

その必要はねえ

と、どこからともなく、声が聞こえ髭面の親衛隊に先導され、あの男が入場してきた。

それは腕の治療のため単身渡米していたスーパースター剣崎順、その人であった。

渡米からそんなに時間が経ってはいないが、痛めた左腕は完治したのだろうか?

ともかくベスト4の4人に剣崎を加えて日本代表があっけなく誕生した瞬間だった。

そしてこれが、図らずも「リンかけ」非現実路線への幕開けとなる。

シャフトはアメリカ中を駆けめぐって死刑囚だの暴走族のリーダーだの全米の猛者を集める。

この中でまともなボクサーはシャフトだけのようだ。

何やら不穏な雰囲気。

この決戦、一体どうなってしまうのか?

日米決戦 第1試合 香取石松vsモンスタージェイル

日本代表、先鋒は斬り込み隊長、香取石松。

以後、各国との対戦でのトップバッターはほぼこの石松が務めることになる。

相手のモンスタージェイルは100kgはゆうに超えそうな文字通りの怪物でなんとこれまで15人もの殺人を犯した死刑囚。

よくもまあそんなとんでもない男をはるばる日本まで連れてこれたものである。

試合開始のゴング。

まずは石松が景気づけの一発をモンスターの顔面めがけてお見舞いするが、この男にはやはり効かない。

お前のパンチなどハエが止まった程度だと一蹴される。

今度はモンスターの反撃。ぶっとい腕をものすごい勢いでぶんぶん振り回す。

それを石松は軽い身のこなしでかわしていくが、一発当たれば即地獄行きとなりそうだ。

ここで石松、何を思ったかノーガードで相手に向かって前進。

絶好の勝機を得たモンスターは体重を乗せたパンチを石松のボディーにぶち込む。

ドガッ!!!

石松はロープに吹っ飛ぶが、逆にロープの反動を利用して、モンスターのボディーへ一直線に体ごと突っ込む。

モンスターたまらずダウン。

相手のパワーを利用した石松らしい攻撃だ。

まさに特攻の精神、これぞ大和魂だ。

日米決戦 第2試合 河井武士vsミズシャネル

アメリカ選抜、2番手はミズシャネルという美魔女

相手を務めるのは越後の貴公子、河井武士だ。

思えば美男子である河井の相手は同じく大体が美しい容姿を持ったボクサーばかりだった。

試合開始のゴング。

勢いよく発進した河井だが、相手のミズシャネルの瞳から発せられる魔性の光に自分を見失ってしまう。

河井の表現を借りれば、「かつて経験したことのない甘美な世界に引き込まれてしまう

そんな底なし沼に足を取られるような感覚のようだ。

精神を乱された河井へミズシャネルの容赦ないパンチの雨あられが浴びせられる。

河井いきなりピンチ。だがここは何とか1R終了のゴングに救われる。

自陣のコーナーにもどった河井に志那虎が父親から預かった刀を振るって、魔女の怨念を払う。

我に帰った河井はこのままでは次のラウンドも相手の術中にはまると考え、志那虎の刀を借りる。

そしてあろうことか、その刀を自分の左足のふとももにぶっ刺した。

血迷ったか河井?

いやそうではなかった。自らの足を傷つけることで、魔女の怨念を追い払ったのだ。

それにしても姉・貴子のいいなりだったあのシスコン河井が…こんなことをするなんて…

人は成長するものだ。

正気にもどった河井にもはや死角はなく、

フィニッシュブローである必殺の右アッパーカットで魔女を撃沈。

リングの外へ吹っ飛んだミズシャネルのかつらが取れて、この魔女は実は男(オネエ)だったことが判明するというオチがつく。

日米決戦 第3試合 志那虎一城vsミック

日本代表の2連勝で迎えた3試合目はいぶし銀志那虎一城と地獄の天使(ヘルスエンジェルス) ミック

ミックは暴走族の頭。相手を威嚇するかの如く常にグラサンを付けている。

ボクシングの戦いの場にを持ち込み、それでもって試合後の石松に襲いかかろうとした、とんでもないクレイジーな輩だ。

これに対抗して志那虎は父親から預かった備前長船(ガチの日本刀)を携える。

普通に考えれば2人とも銃刀法違反で即アウトだ。

試合開始のゴング。

ミックは志那虎にパンチを数発打ち込んでいくが、神技的ディフェンスによって、すんなりかわされていく。

だれを相手にしてるんだ、おめえ

志那虎のクールな決めセリフに読者はしびれる。男なら一度はそんなセリフをいってみたいものだ。

相手の力を見切った志那虎はすかさず伝家の宝刀、ローリングサンダーを打ち込み、いとも簡単に勝利。

どうしたミック、石松に向かって斧を振りかざした最初の勢いはどこへやら。

日米決戦 第4試合 剣崎順vsミスターホワイティー

4試合目、日本が誇るスーパースター剣崎順と南部の英雄ミスターホワイティーの対戦。

このホワイティーという金髪ロンゲのチャラ男、多くのアメリカン美女を引き連れ自分の番になって初めて姿を見せるというもったいぶった登場のわりにはこの試合で醜態をさらす。

試合開始のゴングが鳴るやいなや

CRASH!!!!!

剣崎復活を高らかにアピールする左アッパーが炸裂で瞬殺。

この男もミックと同じく全くの見かけだおしだった。

それにしてもブラックシャフトよ、もう少しマシなメンツはいなかったのか?

第5試合 高嶺竜児vsブラックシャフトに続く